ハンガリーの現状

書きたいことはたくさんあるものの、難しい内容ばかりなのでなかなか書き出せずにいました。

世の中の流れはすさまじいです。このところのハンガリーでの変化は言葉にするのが難しいほどです。

例えて言うならば、広い平原に立っていたと思ったら、ガシャーンガシャーンと四方に鉄の壁が下りてきて、それが自分に向かって迫ってきた、という感じ。
ただ、恐怖感や悲壮感はなく、半分自分を笑ってしまいたいような気分で、「どうすんの?」と言っているような。なぜ笑えるかと言えば、あまりにも自分のせいでなさすぎて、この現実が理解できないからでしょうか。


TVでも、巷でも、明るい話題はほとんどなく、給料が減っただの、どこがつぶれた(マレブ;航空会社ですね。)だの、次はどこがつぶれるだの…。


1月の給料明細を見て愕然となったのですが、天引きされている年金が、なんと給料の10%!いつから、なんで、誰が決めたのか?第一、税金の取り方が変わったのは分かるけど、(私個人としては、一律16%というのは不公平だと思う)明細書の様式ががらりと変わって、16もあった天引き項目がなんと4つに減っていて、でも金額は2倍。なにがどう変わったのか知る由もなく。
新しい税制が反映されるのが今回の給料とあって、手取り額が減った人がほとんどで、給料日、職場では小規模のパニックが起こりました。なんといっても細かい税金のことやそれにまつわる労働法(しかも改正されてるし)などに疎い人も多く、この情報不足のなかではパニックもいたしかたないかと。

今のところの情報では、なにかの計算方法の都合で、手取り額が一時的に減った(天引き額が上がった)人もいるが、その人は差額を3月分で受け取ることになる、そうです。


Facebookで、こんな文章が流れていたので、訳してみました。

月々、10日目に給料を受け取る。
11日目に、請求の来ていたものを支払う。(光熱費など)
12日目に、35メートル四方の『豪華なヴィッラ』のローン(百億分の1)を支払う。
13日目に買い物に行くが、既に払えるお金はなく、クレジットカードを使う羽目になり、借金をつくる。
残りの27日間、次の給料まで泣きながら待つ。
ハンガリー万歳!


この人の場合、食べ物より先に光熱費やローンを支払っているところがえらい。
現実では、餓死する人より光熱費払えずに凍死したり、ローンが払えず家を追い出される人の方が多いはず。

35メートル四方の物件の百億分の1と言うあたりは確実に誇張だけど、実感として非常に共感できるし、実際こういう生活を何年も続けている人もかなり多いというのが怖いところです。


1月28日に、経済相が「月4万7千Ftで生活できる」と言ったこともいろんなところで取り上げられています。「だったら自分が生活してみてよ!」と言いたいところですが、既にみんなが言っているので言葉を飲み込みました。ハンガリーの物価、デフレの進む日本と比べて安いなんてことは全くありません。4万7千Ftなんて、40平米の部屋でも、管理費、水道、ガス、電気だけで消えてしまいます。家賃(あるいはローン)を滞納して、1か月飲まず食わず、交通費も払えないから全て歩きで生活しろと…?
経済相が、こんな感覚でいいのでしょうか?


注釈を加えると、経済相の発言は、「公務員の手取りが、最低賃金よりずっと少ない4万7千Ftなのはおかしい」というのに対して行われたもので、「今まで2万8500Ftで生活できていた人なら(今まではこの額だった)4万7千という数字はずっと多いもので、喜ぶべきだ」と言ったそうです。
この、2万8500とか、4万7千という数字が、現実的にありえなさすぎて、この記事の意味が分からなくなってしまいます。


どちらにしろ、私たち夫婦二人とも通勤手当などもろもろの手当全てを削られ、夫の仕事先は清掃会社も入らなくなり、暖房もなく、(このところ昼でもマイナス8度)四方から迫ってくる壁を眺める日々です。
シングルマザーや、失業者には、さらにキツいことと思われます。
弱者に厳しく、金持ちの権利を守る今の政権がいつまで支持されるのか分かりませんが、ハンガリーのこの暗闇は当分続きそうです…